物流代行とは?サービス利用のメリット・デメリットや業者の選び方を解説

物流代行とは?サービス利用のメリット・デメリットや業者の選び方を解説

2025/05/27





目次


EC市場の拡大や物流環境の変化により、物流業務を外部に委託する「物流代行」のニーズが高まっています。
特に、商品の保管・梱包・配送などの業務を専門の業者に任せることで、企業は本業に集中できるようになります。
しかし、物流代行の導入にはメリットだけでなく、コストや情報管理といったリスクも伴うため、適切な業者選びが重要です。

そこで本記事では、物流代行の基本的な仕組みや利用するメリット・デメリットを解説するとともに、最適な物流代行業者を選ぶポイントについて紹介します。
物流業務の効率化を図り、コスト削減や品質向上を目指したい企業にとって、物流代行は有力な選択肢の一つです。導入を検討する際の判断材料として、ぜひ本記事をご活用ください。

【 物流代行とは何か?業務範囲と基本的な仕組み 】



物流代行とは、入庫から在庫管理、出荷、そして商品が顧客のもとに届くまでの物流業務を代行してくれるサービスのことで、「物流アウトソーシング」とも呼ばれています。
近年のEC市場のニーズ拡大に伴い、物流業務は重要性が高まっています。

自社で物流業務を担うよりも、専門業者に任せた方が品質面・効率面ともに改善されるケースが多く、物流代行を利用する企業が増加傾向にあります。
また、保管効率や作業の生産性が改善されることで、物流費を圧縮できる場合も多いです。

■EC市場の成長に伴う物流代行サービスの重要性

経済産業省が発表した資料によれば、物販系分野のBtoC-ECの市場規模は、2021年が13兆2,865億円、2022年が13兆9,997億円、そして2023年が14兆6,760億円と右肩上がりに伸びています。


出典:経済産業省|令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書

この傾向は同市場調査の始まった2014年から変わらず続いており、今後も引き続き拡大していくことが予想されます。
しかし、物流が円滑に動いていない企業にとっては、日々増大するEC需要に応えることは容易ではありません。
一連の物流作業を自社でまかなうには相応のリソースやコストがかかるため、物流代行業者にアウトソーシングすることが効果的な選択肢となっています。

■BtoB卸売業界における物流環境の変化と課題

BtoB卸売業界では、消費者ニーズの多様化に伴い、物流環境も大きく変化しています。
従来の少品種大量出荷から多品種少量出荷へとニーズが変化する中で、物流業務はますます複雑化しています。

卸売業界特有の課題として、取引先ごとに異なる納品条件への対応、賞味期限や生産ロットの厳格な管理、専用パレットや包装資材の要件対応などがあります。
また、慢性的な人手不足により人件費が上昇し、物流コストの増加が経営を圧迫している状況です。

さらに、物流業務のデジタル化の遅れから、在庫状況の可視化や顧客への迅速な情報提供が困難となり、結果として競争力の低下を招いています。

■物流代行で任せられる業務範囲と物流フロー

物流代行で任せられる業務範囲は多岐にわたり、一般的に以下の業務が委託可能です。


物流代行には、主に次の3つの種類があります。

① 倉庫内作業のみを代行する
② 物流業務全体を代行する
③ 決済業務や受注管理なども含めて代行する

ただし、依頼する業者によって外注可能な業務範囲が異なるため、自社のニーズに合った代行業者を選べるよう、事前にサービスの詳細を確認することが重要です。


【 物流代行サービス利用のメリット 】



物流代行を利用することで、EC企業や卸売業者は以下のようなメリットを得ることができます。

 ● コア事業への集中による経営資源の最適化
 ● 物流コストの変動費化と「見える化」の実現
 ● 物流品質の向上
 ● 多様なプラットフォーム連携による売上機会の最大化

これらのメリットを活かすことで、自社の競争力を高め、事業成長を加速させることが可能となります。
以降で、それぞれのメリットについて解説します。

■コア事業への集中による経営資源の最適化

物流代行を利用する最大のメリットは、自社のリソースをコア事業に集中できる点です。E
C運営や卸売業において、物流は確かに重要な業務ですが、ノウハウの蓄積に膨大な時間がかかります。
在庫管理に関する知見や物流システムのIT知識など、専門性の高い分野であるため、自社の物流強化には多くの困難が伴うでしょう。

また、物流業務に関しては、そもそも物流業務がしたくて入社する人材も少ないという現実があります。
反対に、営業や接客が得意なスタッフに、本人の希望とは関係なく物流業務を任せることで、モチベーション低下につながるケースも少なくありません。
慢性的な人手不足が叫ばれている今日において、限られた人的リソースを商品の企画開発、営業、マーケティングなどの「コア業務」に振り向けることは、離職率の防止という観点からも重要度が増しています。

■物流コストの変動費化と「見える化」の実現

物流代行を利用すると、物流コストが一元化され、管理しやすくなるというメリットがあります。
物流業務を自社で行う場合、商品を保管する倉庫の家賃やスタッフの人件費など、多くのコストが固定費として発生しているケースが見受けられます。
また、他部門から応援として物流業務に従事しているケースもあるため、「物流業務のうち、ピッキング、検品、梱包などの各工程でどの程度のコストがかかっているか」見えづらくなりがちです。

物流代行を利用した場合、固定費や変動費を含め、すべての物流コストが業者への依頼料に一元化されます。
その結果、物流にかかっているコストが「見える化」され、コストごとの正確な値やその変動額を時系列で算出することが可能になります。

実際の保管コストや作業コストを用いて、「売上高物流コスト比率」や「梱包あたり物流コスト」などを算出することにより、保管効率や作業効率の妥当性も検証しやすくなります。

■物流品質の向上

物流代行を利用すると、自社で行うよりも物流業務の品質を向上させられるメリットがあります。
物流を専門としていない企業の場合、慣れない自社人員で物流をまわそうとすると、効率が上がらないばかりか、誤出荷などのヒューマンエラーが起こる可能性もあります。
一方、代行業者は物流業務のプロフェッショナルであることから、自社で行うよりも的確かつスムーズな物流が実現します。

丁寧な梱包やラッピングなどの流通加工サービスも、物流代行の重要な価値です。
梱包やラッピングは、顧客が荷物を受け取った際の第一印象に大きく影響し、ブランドイメージの向上にもつながる要素です。
物流代行業者は専門的な知識と経験から、商品の特性に合わせた適切な梱包材の選定や効率的な梱包方法を提案できるため、商品破損の防止にも役立ちます。
こうした丁寧な対応は顧客からの信頼を獲得し、リピート注文や口コミによる新規顧客獲得へとつながり、結果的に企業の売上向上に貢献するでしょう。

■多様なプラットフォーム連携による売上機会の最大化

物流業務を専門業者にアウトソーシングすると、多くのプラットフォームや販売ツールとデータ連携でき、売上機会を拡大できるというメリットも得られます。
たとえば、中国向けの「天猫国際」、東南アジア・台湾向けの「Shopee」、アメリカ向けの「eBay」など、海外顧客を相手にする販売プラットフォームを使えば、越境ECも実現できます。

また、「Instagram」「YouTube」「SHOPROOM」など、オンラインでありながら密接で双方向のコミュニケーションが可能なライブ配信(ライブコマース)ツールを使えば、若い世代を中心に売上機会を広げられます。

これらのプラットフォームやツールを使用するには、自社の在庫データとリアルタイムで連携できるWMS(倉庫管理システム)が必要不可欠です。
物流代行業者を選ぶ際は、どのようなWMSを導入しているかを確認し、データ連携に強い業者を選ぶことで売上機会を最大化することができるでしょう。


【 物流代行利用時に気をつけたいデメリットとリスク 】



物流代行を利用すると多くのメリットが得られますが、一方で物流代行を利用することによるデメリットも生じる可能性があります。
具体的には、以下が挙げられます。物流代行を利用すると多くのメリットが得られますが、一方で物流代行を利用することによるデメリットも生じる可能性があります。

具体的には、以下が挙げられます。

 ● 想定外のコスト発生
 ● 情報管理のリスク
 ● 物流ノウハウの蓄積不足

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、物流代行のメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
ここでは、物流代行を利用する際に特に気をつけるべきデメリットについて解説します。

■想定外のコスト発生

物流業務をアウトソーシングすると、コストを変動費化できるため、物流にかかるコストの圧縮が期待できます。
しかし、事前に念入りなヒアリングをしていないと、後から保管坪数が余分に必要になったり、チェック項目が多くなることで検品コストが予定外に膨らんでしまったり、結果的に自社で行うより費用がかさむリスクもあります。

そのため、物流代行を利用する際は、必ず複数社から見積もりを取ったうえで、事前に丁寧なヒアリングをしてくれる業者を選ぶことが大切です。
物流現場に足を運んでもらい、将来的な販売戦略や物量の予測などを踏まえて、しっかり話し合いをしておくことで、先々のコスト増大リスクを最小化できるでしょう。
物流の実態を把握している業者ほど、具体的な質問や提案をしてくれるはずです。

■情報管理のリスク

物流代行を利用すると、代行業者に顧客情報などを共有することになります。
そのため、情報管理に注意しないと、顧客情報が漏洩するなどのトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。

情報管理の大切さは今や周知のことですが、自社でどんなに入念な情報管理をしていても、代行業者のミスで漏洩してしまえば、それは自社の責任問題につながります。

そのため、物流代行を利用する際は、顧客情報へのアクセス権限の所在やUSBメモリ等の取り扱い状況など、情報管理体制の詳細をあらかじめ確認しておきましょう。
また、個人情報保護に関する第三者認証制度であるプライバシーマークを取得しているかどうかも、一つの判断基準になります。
情報漏洩インシデントは企業が培ってきた信用の失墜を招くため、絶対に避けるべきといえるでしょう。

■物流ノウハウの蓄積不足

物流代行を利用すると、自社に物流ノウハウが蓄積されにくいというデメリットもあります。
経営方針として、「完全に物流を外注化する」という方向性であれば問題ありませんが、自社物流に戻す可能性がある場合は注意が必要です。

しかし、物流代行を利用していても、工夫次第で自社に業務フローや業務マニュアルなどの物流ノウハウを蓄積させることは可能です。
たとえば、物流代行業者と定期的にミーティングを実施したり、業者が提供する倉庫管理システムを活用して入出荷データの収集・分析を行ったりすると効果的です。

特に、誤出荷率や在庫差異率などの品質に加えて、ピッキングや出荷検品の生産性に関する数値目標を定量的に定め、モニタリングを行うとよいでしょう。

仮に、誤出荷や在庫差異が発生した場合、どのような要因から発生に至ったかについて詳細な報告書を必ず徴収し、自社内でもその妥当性について検証することが非常に重要です。


【 最適な物流代行業者を選ぶ重要なポイント 】




物流代行を利用する際は、前述したメリットを最大化し、デメリットを最小化するための業者選びが重要です。
適切な業者を選ぶことで、物流コストの削減だけでなく、顧客満足度の向上や自社の競争力強化にもつながります。

物流代行業者を選定する際に特に重視すべきポイントとして、以下が挙げられます。

 ● システムカスタマイズの柔軟性
 ● 業者の実績と信頼性
 ● 誤出荷防止対策
 ● 情報セキュリティ体制

これらのポイントを踏まえて業者を選定することで、自社のニーズに合った最適な物流パートナーを見つけることができるでしょう。

システムカスタマイズの柔軟性

ひとくちに物流といっても、商材や販売チャネルの違いによって、企業ごとに最適な物流は異なってきます。
そのため、物流代行を利用する際は、自社の物流業務の流れにマッチするようシステムをカスタマイズできるかどうかを確認することが重要です。

また、最適なシステムというのは一度決まれば変わらないものではなく、市場の動きや顧客ニーズの変化などにより、日々変わっていきます。

たとえば「新しく量販店と取引を開始する」「製造工場を変更する」「SKU(Stock Keeping Unit)を大幅に増やす」「越境ECをはじめる」など、経営環境は日々変わり続けるといっても過言ではありません。

そのため、変化の激しい中で常に最適な物流体制が整うよう、柔軟なカスタマイズができる業者が望ましいといえるでしょう。

■業者の実績と信頼性

物流代行業者を選ぶ際は、充分な実績があるかどうかも必ず確認しましょう。
実績が豊富ということは、それだけ他の企業に評価されてきた証拠です。
もちろん、実績が少なくても信頼できる業者がいる可能性はありますが、実績豊富な方が低リスクなのは間違いありません。

また、実績を確認する際は、「自社と似た商材の取り扱い実績」「同じ百貨店や量販店などへの納品実績」「利用している基幹システムとの連携実績」なども確認しておきましょう。

そのほかにも、食料品や化粧品を扱うなら、「温度管理のモニタリング状況や先入れ先出しのロット管理をどの程度徹底しているか」「倉庫管理に必要な許可証を持っているか」などの確認も重要です。

業者の経験が豊富であればあるほど、想定外の事態への対応力も高いといえるでしょう。

■誤出荷防止対策

物流代行業者を選定する際は、誤出荷を防ぐための対策が取られているかどうかも入念に確認しましょう。
物流業務をアウトソーシングすれば、物流の効率はほぼ間違いなく向上します。

しかし、どんなに効率が向上したところで、誤出荷が発生してしまえば意味がありません。

誤出荷率が高いと顧客満足度が下がり、クレーム発生の原因にもなります。そのため、物流代行を依頼する際は、限りなく誤出荷率をゼロに近づけている業者を選ぶことが大切です。

具体的には、デジタル管理システムを導入し、バーコードや無線ハンディターミナルを活用した検品・照合体制が整っているか、出荷前の最終チェック体制はどうなっているかなどを確認するとよいでしょう。

物流品質の高さは、顧客からの信頼獲得につながる重要な要素です。

■情報セキュリティ体制

物流代行業者を選ぶ際は、情報セキュリティ体制もしっかりと確認することが重要です。
物流代行を利用すると、顧客の住所や氏名といった個人情報を代行業者と共有することになります。

このような情報が漏洩すると、自社の信用問題に直結してしまいます。

情報セキュリティ体制を評価する際は、プライバシーマークの取得状況をはじめ、アクセス権限の管理方法や情報漏洩防止のための具体的な対策について詳しく確認しましょう。

たとえば、従業員のセキュリティ教育はどのように行われているか、USBメモリなどの外部記憶媒体の使用制限はあるか、情報システムへのアクセスログは記録されているかなどがチェックポイントとなります。
顧客情報を適切に管理できる業者を選ぶことで、安心して物流業務を委託することができるでしょう。


【 ネオロジスティクスの物流アウトソーシングが解決する課題 】 



現代のEC企業やBtoB卸売業者は、人員不足やスペース不足、物流コストの上昇、品質管理の難しさ、そして多品種少量化による業務の複雑化といった物流課題に直面しています。
株式会社ネオロジスティクスの物流アウトソーシングサービスは、これらの課題に対して具体的な解決策を提供しています。

同社のサービスでは、物流コストの「固定費」から「変動費」への転換を実現することで、繁閑差に合わせた柔軟な対応が可能になります。
繁忙期には必要なリソースを確保しつつ、閑散期には無駄なコストを削減できるため、物流コストの

最適化が図れる仕組みです。

また、25年の実績と30社以上の物流事業経験を活かし、物流業務の効率化と品質向上を実現しています。物流に特化したシステム担当者が継続的な改善提案を行い、企業は本業である営業・販売・企画に専念できる環境を整えるサポート体制が整っています。

さらに、アスト中本グループの一員として、海外調達から国内物流までをワンストップで提供することで、国際物流における煩雑な業務も一つの窓口で完結させることが可能となっています。

物流課題の解決を検討されている企業は、ぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

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