
物流×ITで現場を変革!導入メリットや活用事例と成功ポイント
2026/02/16
物流業界では、環境負荷の低減や人手不足への対応などを背景に、SDGsへの取り組みが重要課題となっています。本記事では、SDGs 物流 事例を軸に、業界が取り組むべき背景や関連目標、共同配送・モーダルシフトといった具体策を解説。倉庫・配送事業の経営者や担当者が、自社で実践可能な持続可能な物流施策を理解し、導入判断に役立てられる内容です。

SDGsとは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」のことです。17の目標から構成され、2030年までの達成を目指して世界中で取り組みが進められています。
物流業界においても、SDGsへの対応は避けて通れない課題となっています。その背景には、トラック輸送などによるCO2排出量の増加、梱包資材の大量廃棄による環境負荷、そしてドライバー不足や長時間労働といった労働環境の問題があります。
これらの課題は相互に関連しており、業界全体での解決が求められています。
物流業界では、トラックなどの燃料消費によって多くのCO2が排出されています。国土交通省のデータによると、国内のCO2排出量のうち運輸部門が占める割合は約17.4%であり、そのうち約23.0%が営業用貨物車(トラック)から排出されている状況です。
気候変動への対策として「脱炭素社会」の実現が世界的に求められるなか、物流業界においてもCO2排出量の削減は喫緊の課題となっています。輸送の効率化や低燃費車両の導入など、環境負荷を軽減するための取り組みが必要です。
物流の現場では、段ボールや緩衝材などの梱包資材が大量に使用されています。これらの資材は配送先に届いた後、多くの場合そのまま廃棄されてしまいます。
特にプラスチック製の緩衝材は、海洋に漂流すると海洋生物へ悪影響を及ぼすことが問題視されています。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の観点からも、梱包資材のリサイクルや削減を通じて、廃棄物を減らす循環型社会への対応が求められています。
EC市場の拡大に伴い物流量が増加する一方で、トラックドライバーの不足と高齢化が深刻な問題となっています。配達員が不足するなか、一人で大量の荷物をさばかなければならない状況が生まれ、慢性的な長時間労働につながっています。
2024年4月からはドライバーの時間外労働に上限規制が適用され、いわゆる「2024年問題」への対応も急務です。SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の実現に向けて、働きやすい環境づくりが安定的な物流網の維持に直結しています。

SDGsには17の目標が設定されていますが、物流業界の事業活動と特に関連が深いのは、以下に示した4つです。
物流業界では、輸送時のエネルギー消費や温室効果ガスの排出、梱包資材の廃棄、そして労働環境の改善といった課題を抱えています。
また、これらの課題に取り組むことが、SDGsの達成にもつながっていきます。
| SDGs目標 | 物流業界での具体的なアクション(取り組み) |
|---|---|
| 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに | ・倉庫への太陽光発電パネルやLED照明の導入 ・EV(電気自動車)やハイブリッド車の導入 ・省エネ運転(エコドライブ)の推進 |
| 8. 働きがいも経済成長も | ・「ホワイト物流」推進運動への参加 ・長時間労働の是正と労働環境の改善 ・女性や高齢者も働きやすい職場づくり |
| 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう | ・物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進 ・AIやロボットを活用した倉庫内作業の自動化 ・効率的な物流インフラの構築 |
| 12. つくる責任 つかう責任 | ・梱包資材(段ボール、緩衝材)の削減とリサイクル ・再生可能素材やバイオマス素材への切り替え ・在庫管理の適正化による廃棄ロスの削減 |
| 13. 気候変動に具体的な対策を | ・モーダルシフト(鉄道・船舶への転換)の推進 ・共同配送による積載率向上と車両台数削減 ・配送ルートの最適化によるCO2排出量削減 |
以下では、各目標と物流業界との関わりについて詳しく解説します。
SDGs目標7は、クリーンで持続可能なエネルギーの普及を目指す目標です。物流業界では大量の輸送車両を使用し、エネルギー消費や温室効果ガスの排出において大きな影響を与えています。
この目標の達成に向けては、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の高い技術の採用が求められます。具体的には、倉庫へのLED照明や太陽光発電パネルの設置、EV(電気自動車)やハイブリッド車への切り替えなどが有効な手段として挙げられます。
SDGs目標8は、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)に就けるようにし、持続可能な経済成長を実現することを掲げています。
物流業界では、ドライバーや倉庫作業員の労働条件が厳しい場合が多く、長時間労働の是正や安全な労働環境の確保が課題となっています。また、女性の労働力が依然として少ないことから、女性や高齢者も働きやすい職場環境の整備や、多様な働き方を支える柔軟な制度づくりが求められています。
SDGs目標12は、持続可能な消費と生産のパターンを確保し、廃棄物の発生抑制やリサイクルを推進する目標です。製品のライフサイクル全体における資源の効率的な使用が求められています。
物流業界においては、梱包資材の削減やリサイクル素材の使用が資源の節約に直結します。また、在庫管理システムの導入による過剰在庫や廃棄ロスの防止も重要な取り組みです。資源を効率的に利用し、環境負荷を低減する「サステナブルな物流」の実現が必要とされています。
SDGs目標13は、気候変動とその影響に立ち向かうため、温室効果ガスの排出削減に向けた緊急対策を取ることを目指しています。
物流業界では、トラックや輸送車両から排出されるCO2が気候変動に大きな影響を与えるとされており、削減に向けた積極的な取り組みが求められています。配送ルートの最適化やエコドライブの実践、燃費効率の高い車両への切り替えなどが有効な対策です。業界全体で脱炭素化を進めることが、地球規模の課題解決に貢献します。

物流企業がSDGsに取り組むことは、単なる社会貢献活動にとどまりません。企業イメージの向上や新たな取引機会の創出、さらにはコスト削減や業務効率化といった経営上のメリットをもたらす可能性があります。
一方で、SDGsへの取り組みには初期投資や運用コストの負担、推進を担う人材やノウハウの不足といった課題も存在します。メリットとデメリットの両面を正しく理解したうえで、自社に適した形で取り組むことが重要です。
以下では、SDGsに取り組むメリットと課題について詳しく解説します。
| 項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| メリット | ・企業イメージ向上 ・新たな取引機会の創出 ・コスト削減 ・業務効率化 |
| 課題 | ・初期投資や運用コストの負担 ・SDGs推進人材の不足 ・ノウハウ不足 |
SDGsに積極的に取り組むことで、顧客や取引先、投資家といったステークホルダーからの信頼を獲得できます。企業イメージが向上すればブランディングにつながり、売上の向上や従業員のモチベーション向上にも影響する可能性があります。
また、環境配慮型の経営を行う荷主企業から選ばれやすくなり、新たなビジネスチャンスの創出にもつながるでしょう。近年はESG投資に注力する投資家も増えており、ESGにおいて高い評価を得ることで資金調達がしやすくなるメリットも期待できます。
省エネ設備の導入や配送効率の向上には初期投資が必要ですが、長期的には燃料費や光熱費などのコスト削減につながります。たとえば、配送管理システムを導入すれば効率的な配送ルートを自動作成でき、配送時間の短縮や燃料消費の削減が期待できます。
業務のムダを省くことで生産性が向上し、人件費の適正化や利益率の改善にも寄与します。SDGsへの取り組みは社会貢献だけでなく、企業の経営基盤を強化する実利的な効果もあるのです。
SDGsの推進には、環境配慮型車両の導入やシステム投資など、一定のコストがかかります。新規ビジネスへの取り組みや社員への研修費用など、金銭的なコストに加えて、計画策定や見直しといった時間的なコストも発生します。
また、中小規模の物流企業ではSDGs推進を担う人材やノウハウが不足しており、取り組みが遅れる傾向にあります。自社単独での解決が難しい場合は、物流アウトソーシングや専門家へのコンサルティングを活用することも有効な手段です。

物流業界では、SDGs達成に向けてさまざまな取り組みが進められています。環境負荷の低減や労働環境の改善、業務効率化など、多角的なアプローチで持続可能な物流の実現を目指す企業が増えています。
具体的には、複数企業が連携する共同配送、鉄道や船舶を活用するモーダルシフト、環境に配慮した梱包資材への見直し、働きやすい職場づくりを目指すホワイト物流推進運動、そしてAIやIoTを活用した物流DXなどが挙げられます。
| 取り組み名称 | 具体的な内容 | 期待されるSDGs効果 |
|---|---|---|
| 共同配送 | 複数の企業が連携して荷物を集約し、配送する | トラックの積載率向上、CO2排出量の削減、コスト低減 |
| モーダルシフト | トラック輸送から鉄道や船舶による輸送へ転換する | 長距離輸送におけるCO2の大幅削減、ドライバーの負担軽減 |
| 梱包資材の見直し | 再利用可能なオリコンや環境配慮型素材(再生紙など)を採用する | 廃棄物の発生抑制、プラスチック使用量の削減、資源の有効活用 |
| ホワイト物流 | 荷待ち時間の短縮や荷役作業の軽減など、労働環境を整備する | ドライバーの働きがい向上、女性や高齢者の雇用促進、物流の安定化 |
| 物流DX・システム活用 | AIやIoTを用いた配送管理システムや倉庫管理システムを導入する | 配送ルート最適化による燃費向上、業務効率化による長時間労働の是正 |
以下では、それぞれの取り組み事例について詳しく解説します。
共同配送とは、複数の事業者が協力して荷物を集約し、効率的に運ぶ仕組みです。たとえば、複数のメーカーの商品を物流センターにまとめて一括で出荷するケースがこれに該当します。
トラックの積載効率を高めることで、配送車両の台数を削減でき、CO2排出量の削減とコストダウンを同時に実現できます。個別配送による無駄を省き、業界全体で持続可能な配送網を構築することは、環境問題への有効な対策といえるでしょう。
モーダルシフトとは、トラックによる輸送を鉄道や船舶に切り替える取り組みです。拠点間の距離が長い場合、一部の区間を鉄道や船舶に転換することで、環境負荷を大幅に低減できます。
長距離輸送においてモーダルシフトを実施すれば、CO2排出量を大きく削減することが可能です。また、ドライバーの長距離運転を減らすことで、いわゆる「2024年問題」への対策として労働環境の改善にもつながります。
物流業界では、再利用可能なオリコン(折りたたみコンテナ)や、古紙をリサイクルした段ボールなど、環境に配慮した資材の採用が進んでいます。
プラスチック製の緩衝材を紙製に変更したり、生分解性プラスチックを使用したりする取り組みも広がっています。梱包の簡易化や資材の削減は、廃棄物の発生抑制だけでなく、コスト削減にも効果があり、持続可能な物流の実現に貢献します。
「ホワイト物流」推進運動とは、トラック輸送の生産性向上と、働きやすい労働環境の実現を目指す取り組みです。国土交通省、経済産業省、農林水産省が連携して推進しています。
具体的には、荷待ち時間の短縮や荷役作業の負担軽減など、荷主と物流事業者が協力して改善を進めます。女性や高齢者を含む多様な人材が活躍できる環境を整備することで、人手不足の解消とSDGs達成の両立が期待できます。
物流業界では、AIやIoTを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいます。TMS(輸配送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)を導入することで、配送業務全体の効率化が可能です。
テレマティクスを活用すれば、車両の運行状況をリアルタイムで把握し、燃費改善や安全運転の確保につなげられます。配送ルートの自動作成により、無駄なエネルギー消費を抑え、業務時間の短縮とエコドライブの推進を実現できます。

ネオロジスティクスでは、単なる作業代行ではなく、荷主企業の「物流部門」として入荷から配送までをワンストップで請け負っています。プロの視点で業務全体を最適化し、無駄なリソースを削減することで、エネルギー効率の向上に貢献します。
倉庫移管後も作業効率やレイアウト、在庫量を定期的に見直す継続的な改善を実施し、廃棄ロスや作業ミスの削減を図っています。また、WMSなど現場に最適なシステム導入を支援し、ペーパーレス化や作業標準化を実現します。
荷主企業の物流業務負担を軽減することで、従業員の長時間労働是正やコア業務への集中を促し、持続可能な物流体制の構築をサポートしています。
物流業界においてSDGsへの取り組みは、もはや選択肢ではなく必須の経営課題となっています。CO2排出量の削減、梱包資材の見直し、労働環境の改善といった課題は、いずれも業界全体で解決すべき喫緊のテーマです。
SDGsに取り組むことで、企業イメージの向上や新たな取引機会の創出、コスト削減と業務効率化といったメリットが期待できます。共同配送やモーダルシフト、物流DXの導入など、具体的な施策を実践することで、環境負荷の低減と経営基盤の強化を同時に実現できるでしょう。
一方で、初期投資や人材不足といった課題も存在するため、自社の状況に合わせた取り組み方を検討することが重要です。まずは業務フローを可視化し、改善すべきポイントを明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
持続可能な物流体制を構築することは、企業の競争力強化だけでなく、社会全体の持続可能な発展にも貢献します。SDGsを経営戦略に組み込み、できることから着実に実行していくことが、これからの物流企業に求められています。