ピッキングとは?物流の基本と作業効率化の方法を徹底解説

ピッキングとは?物流の基本と作業効率化の方法を徹底解説

2025/11/11

ピッキングは、物流現場の正確性とスピードを左右する重要な工程です。本記事では、ピッキング作業の基本から、効率化を実現するシステムやロケーション管理のポイントまでをわかりやすく解説します。現場改善に悩む物流担当者や倉庫管理者に向けて、作業効率を高める実践的なヒントと業務の一部をアウトソーシングする際の判断材料となる情報を提供します。

物流におけるピッキングとは?基本的な意味と作業工程

流におけるピッキングとは?基本的な意味と作業工程

物流倉庫での出荷作業において、ピッキングは基本的かつ重要な工程の一つです。出荷指示書に従って保管場所から正しい商品を集めるこの作業は、その後の仕分け、梱包、配送といったすべての工程の起点となります。

ピッキング作業でミスが発生すると、後続のすべての工程に影響を及ぼし、誤出荷や納期遅延といった深刻な問題につながります。そのため、ピッキングが物流業務全体の品質を左右する重要な役割を担っているといえます。

ここでは、ピッキングの基本的な定義と、出荷指示から始まる具体的な作業の流れについて見ていきましょう。


ピッキングの定義と物流における重要性

ピッキングとは、出荷指示書(伝票やピッキングリスト)に基づいて、倉庫などの保管場所から指定された商品を集める作業を指します。作業者は指示書に記載された品番と数量を確認しながら、正確に商品をピックアップしていきます。

この作業は物流において重要な位置づけです。なぜなら、ピッキングの段階でミスが発生すると、その後の検品、梱包、出荷といったすべての工程に影響が及び、誤出荷や納期遅延を引き起こすからです。

なお、似た言葉に「仕分け」がありますが、これは1か所にある商品を分けて置いていく作業を指します。商品を集めるピッキングとは明確に異なる工程です。


出荷指示から始まるピッキング作業の具体的な流れ

ピッキング作業は、出荷指示書(伝票やピッキングリスト)を受け取ることからスタートします。作業者はまずこの指示書を確認し、集めるべき商品の種類と数量を把握します。

次に、指示書の内容に従って保管場所へ移動し、該当する商品を正確に探し出してピックアップします。この際、商品の品番や数量を慎重に確認しながら作業を進めることが求められます。

ピッキングで集められた商品は、次の工程である仕分け、梱包へと引き継がれます。その後、送り状が貼られ、納品先別に再度仕分けされた後、最終的にトラックへ積み込まれて出荷されます。

 

主要なピッキング方式の種類と特徴

主要なピッキング方式の種類と特徴

ピッキング作業を効率的に進めるには、取り扱う商品の種類や数量、出荷先の数に応じて、最適な方式を選択することが重要です。


物流現場では主に次の3つの方式が採用されています。

  • 摘み取り方式(シングルピッキング)
  • 種まき方式(トータルピッキング)
  • マルチオーダーピッキング

それぞれの方式には、作業スピード、移動距離、必要なスペースなどの面で異なる特徴があり、一長一短です。たとえば、出荷先が多く多品種少量の場合と、少ない出荷先に大量出荷する場合では、適した方式が変わります。

ここでは、各方式の具体的な作業方法と、メリット・デメリットについて見ていきましょう。


 ピッキング方式 メリット デメリット
摘み取り方式(シングルピッキング) ・商品を集めてから梱包、出荷までを一つの流れで完結できるため、出荷までのスピードが速い。
・急なオーダー変更や間違いがあった場合も修正が容易で、小回りが利く。
・オーダーの数だけ作業者が倉庫内を移動する必要があり、移動距離と時間が長くなる。
種まき方式(トータルピッキング) ・複数のオーダーの商品をまとめてピッキングするため、倉庫内の移動距離と時間を短縮できる。 ・ピッキング後に「仕分け」という工程が一つ増える。
・仕分け作業を行うための荷さばきスペースを確保する必要がある。
・仕分け状況が把握しづらく、商品の追加といった急な変更に対応しにくい。
マルチオーダーピッキング ・1回のピッキングで複数オーダー分を処理するため、移動時間と距離を短縮できる。
・ピッキングと仕分けを同時に行うことで、作業を効率化できる。
・「ピッキング」と「仕分け」という異なる作業を同時に行うため、商品を違う箱に入れてしまうなど、誤出荷につながるミスを起こすリスクがある。
・ミスを防ぐため、後工程での確実な検品作業が重要になる。

「摘み取り方式(シングルピッキング)」の概要とメリット・デメリット

摘み取り方式は、出荷先ごとに商品を集めていく方法です。別名「シングルピッキング」や「オーダーピッキング」とも呼ばれ、通販事業など多品種少量の出荷形態に適しています。

この方式のメリットは、商品を集めてから梱包、出荷までを一連の流れで完結できる点です。そのため出荷までのスピードが速く、急なオーダー変更があった場合も柔軟に対応できます。

一方でデメリットは、オーダーの数だけ作業者が倉庫内を移動しなければならないことです。出荷件数が増えるほど移動距離と時間が長くなるため、作業者の負担が大きくなります。


「種まき方式(トータルピッキング)」の概要とメリット・デメリット

種まき方式は、複数のオーダーに必要な商品をまとめてピッキングし、その後、荷さばき場で出荷先ごとに仕分ける二段階の方式です。「トータルピッキング」や「アソート方式」とも呼ばれています。

この方式のメリットは、商品棚への往復回数を最小限に抑えられることです。作業者は何度も同じ場所に商品を取りに行く必要がないため、移動距離と時間を短縮できます。

デメリットは、ピッキング後に「仕分け」という工程が増える点です。また、仕分け作業を行うための十分な荷さばきスペースを確保しなければならず、商品の追加といった急な変更にも対応しにくくなります。


「マルチオーダーピッキング」の概要とメリット・デメリット

マルチオーダーピッキングは、摘み取り方式と種まき方式の長所を組み合わせた方法です。複数オーダー分をまとめてピッキングしながら、同時に仕分け作業も行う方式となっています。

メリットは、1回のピッキングで複数オーダーの処理が完了することです。移動時間と距離を短縮しつつ、仕分け作業も並行して進められるため、作業全体を効率化できます。

しかしデメリットとして、「ピッキング」と「仕分け」という異なる作業を同時に行うため、商品を投入する箱を間違えるといったミスが発生しやすくなります。誤出荷のリスクが高まるため、後工程での確実な検品作業が不可欠です。

 

ピッキング作業の効率化を実現するシステム

ピッキング作業の効率化を実現するシステム

従来のピッキング作業は、出荷指示書を見ながら作業者が目視で商品を探し出す方法が一般的でした。しかし、この方法では正確性や作業スピードがすべて作業者の能力に依存するため、人為的なミスが発生しやすく、効率化にも限界がありました。

こうした課題を解決するため、現在の物流現場ではさまざまなIT技術やデジタル機器が導入されています。バーコードリーダー、デジタル表示器、RFIDタグといったシステムを活用することで、ピッキングの正確性を高め、作業時間を短縮することが可能になりました。

ここでは、物流現場で広く採用されている代表的なピッキングシステムについて、それぞれの仕組みと効果を見ていきましょう。


バーコードやハンディターミナルを活用した方法

バーコードを活用した方法では、商品やピッキングリストに付与されたバーコードを、ハンディターミナルなどのリーダーで読み取ります。読み取ったデータと出荷指示情報を照合することで、正確なピッキングが可能になります。

この方式の大きなメリットは、間違った商品をスキャンした際にエラー音やバイブレーションで即座に通知される点です。これにより、人的ミスを削減し、作業品質を向上させることができます。

導入形態もさまざまです。ハンディターミナルのほか、台車に設置するタブレット型や、手の甲に装着するウェアラブルデバイスなど、作業性を高める多様な端末が開発されています。


デジタル表示器を用いたデジタルピッキングシステム(DPS)

デジタルピッキングシステム(DPS)は、商品の保管棚に設置されたデジタル表示器が点灯し、ピッキングすべき商品の場所と数量を作業者に指示する仕組みです。

作業者は表示器の指示に従って商品を取るだけでよいため、商品知識がない新人でも正確かつスピーディーに作業できます。複雑な商品情報を覚える必要がなく、誰でも即戦力として活躍できる点が大きな特徴です。

このシステムの導入により、ピッキングミスの削減と作業スピードの向上が実現します。また、紙の指示書が不要になるため、ペーパーレス化という環境面でのメリットも得られます。


RFIDタグを活用した最新の方法

RFID(無線通信による個体識別)は、商品に埋め込まれたICタグの情報を非接触で読み取る技術です。作業者が棚に手を近づけるだけでRFIDタグを読み取り、正しい商品かどうかをチェックできます。

バーコードと異なり、一つずつスキャンする必要がありません。複数のタグを一括で読み取れるため、検品作業などの効率を飛躍的に向上させることが可能です。

さらに、ウェアラブル型のリーダーと組み合わせることで、ハンズフリーでの作業が実現します。手指の動きを妨げずに細かい作業もできるため、生産性をさらに高められます。

 

ピッキング効率を左右する倉庫のロケーション管理

ピッキング効率を左右する倉庫のロケーション管理

ピッキング作業の効率を高めるには、システムや作業方式の工夫だけでは不十分です。倉庫内の「どこに」「何を」保管するかというロケーション管理が適切に行われていなければ、作業者が商品を探し回る時間が増え、生産性は大きく低下してしまいます。

ロケーション管理とは、商品の保管場所に番地(ロケーション番号)を付けて管理する手法です。この管理方法には「固定ロケーション」と「フリーロケーション」の2つの方式があり、それぞれ特徴が異なります。

また、保管効率を最大化するためには、適切な保管機器の選定も重要です。ここでは、ロケーション管理の基本と保管設備について見ていきましょう。


ロケーション管理の目的と重要性

ロケーション管理とは、倉庫内の棚や保管場所に住所(ロケーション番号)を割り振り、商品の所在地をデータで管理する手法です。たとえば「どの棚の上から何番目、右から何番目」といった情報を記録します。

この管理手法の目的は、どこに何がいくつあるかを正確に把握することで、商品を探し回る無駄な時間を削減し、ピッキング作業の効率を向上させることにあります。

また、熟練作業員の経験や記憶に頼ることなく、新人でもスムーズに作業できる体制を構築するためにも不可欠です。属人化を防ぎ、誰でも効率的に作業できる環境を整えられます。


固定ロケーションとフリーロケーションの違い

ロケーション管理には、商品の保管場所を品目ごとに固定する「固定ロケーション」と、空いているスペースに商品を保管していく「フリーロケーション」の2つの方法があります。

固定ロケーションは、作業者が場所を覚えやすく、慣れると作業が早くなる反面、在庫がなくなっても他の商品を置けないため保管効率が下がります。一方、フリーロケーションは保管スペースを効率的に利用できますが、システム化された在庫管理が必須です。

また、フリーロケーションでは同じ商品が複数の場所に保管される可能性があり、商品を探し出すのに時間がかかることがあります。取り扱う商品の種類や出荷頻度など、現場の状況に応じて適切な管理方法を選択することが重要です。


 管理方法 固定ロケーション フリーロケーション
保管ルール 商品ごとに保管する場所が決められている 空いている場所に商品を保管していく
メリット ・作業者がどこに何があるか場所を覚えやすく、慣れると作業が早くなる ・保管スペースを効率的、有効的に利用できるため、保管効率が高い
デメリット ・在庫がなくなって棚が空いても他の商品は置けないため、保管効率が下がる ・システム化された在庫管理が前提条件となる
・複数の場所から同じ商品が見つかる可能性があり、商品を探し出すのに時間がかかることがある
適したケース 商品の種類が少なく、場所を覚えやすい場合 EC通販など多品種の商品を扱い、限られたスペースを最大限に活用したい場合

保管効率を高めるための主な保管機器

ピッキング作業の効率化と保管スペースの有効活用には、適切な保管機器の選定が欠かせません。代表的な保管機器として、以下のようなものがあります。

  • 中軽量ラック:小物部品やケース品、バラ品など多種少量品の保管に最適なラックです
  • 移動ラック:各棚が独立して移動し、作業用通路が1本で済むため、固定棚に比べ約2倍のスペース効率を実現します
  • 垂直回転ラック:天井空間を有効利用する回転棚で、作業高さが常に一定となり省力化に貢献します

特に「傾斜式流動棚(フローラック)」は、背面から商品を補充し前面からピッキングする構造です。補充とピッキングの動線が分離されるため作業の待ちが発生せず、食品など期限管理が必要な商品の先入れ先出しにも最適です。

 

ピッキング作業の課題解決なら物流アウトソーシングも有効

ピッキング作業の課題解決なら物流アウトソーシングも有効

ピッキング作業を自社で運営する場合、多品種少量化への対応、人員確保、品質管理など、さまざまな課題に直面するケースが少なくありません。特に事業が成長するにつれて、物流業務の複雑化や労務管理の負担が増大し、本業に専念できない状況に陥ることもあります。

こうした課題を解決する選択肢の一つが、物流専門企業へのアウトソーシングです。ピッキング業務を外部に委託することで、品質向上とコスト最適化を同時に実現し、社内リソースを本業に集中させることが可能になります。

ここでは、自社でのピッキング作業が抱える具体的な課題と、物流アウトソーシングによる解決策について見ていきましょう。


自社でのピッキング作業が抱える課題

自社でピッキング作業を行う場合、人為的ミスの発生、作業者による生産性のばらつき、そして人材の確保や教育の難しさといった課題に直面しがちです。リストピッキングのような基本的な方法では、正確さや作業スピードがすべて作業者に依存するため、品質管理に限界があります。

さらに事業が拡大し物量が増加するにつれて、これらの課題はより深刻化します。早朝からの入荷作業や遅くまでの出荷作業により残業が膨らみ、本来注力すべき商品開発や販売戦略といったコア業務を圧迫する事態に陥りかねません。

また、ピッキングを効率化するためのシステムやマテハン機器を導入するには、多額の初期投資が必要になるという資金的な課題もあります。


ネオロジスティクスによるピッキング業務の改善提案

ピッキングを含む一連の物流業務をネオロジスティクスにアウトソーシングすることで、これらの課題を根本から解決できます。

25年の実績と35社以上の支援経験を持つネオロジスティクスは、物流改善を得意としています。単なる作業の代行に留まらず、現状の業務フローを分析し、最適なピッキング方式の提案やITシステムの活用支援まで、ワンストップで物流全体の改善をサポートします。物流に特化したシステム担当者と現場スタッフが、継続的な改善提案を行います。

定期的なレポーティングを通じて、企業の成長に合わせた継続的な改善を実施し、競争力のある物流環境を構築する「物流部門」としての役割を担います。

ネオロジスティクスの物流アウトソーシング詳細はこちら

 

まとめ

ピッキング作業は物流の根幹をなす工程であり、その正確性と効率性が企業の競争力を左右します。取り扱う商品や出荷形態に応じた適切なピッキング方式の選択、バーコードやDPSといったシステムの導入、そしてロケーション管理の最適化により、作業品質と生産性を大きく向上させることが可能です。

しかし、自社でこれらを実現するには、多額の初期投資、人材の確保と教育、継続的な改善活動が必要となり、本業への集中を妨げる要因にもなりかねません。物流専門企業へのアウトソーシングは、これらの課題を根本から解決する有効な選択肢です。

ネオロジスティクスの物流アウトソーシングサービスなら、25年の実績に基づく最適なピッキング方式の提案から、ITシステムの活用支援まで、ワンストップで物流全体の改善をサポートします。物流業務の効率化を検討されている方は、ぜひご相談ください。

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