
流通加工とは?目的からアウトソーシングするメリットまで解説!
2025/11/11
ECサイトやネットショップの成長において、通販物流は顧客満足度を左右する重要な要素です。しかし、在庫管理の煩雑化や物流コストの高騰、2024年問題など、多くの運営者が課題を抱えています。本記事では、通販物流の基礎知識から具体的な改善策、アウトソーシングの活用法まで体系的に解説します。物流業務の効率化を実現し、事業拡大を目指す方に役立つ情報が満載です。

通販物流とは、ECサイトやカタログ通販など、通信販売における商品の入荷から出荷までの一連の物流プロセスを指します。インターネットやスマートフォンの普及により、BtoC(個人消費者向け)だけでなく、BtoB(企業間取引)の通販市場も急速に拡大しています。
これらの事業モデルでは、出荷数量や配送先、流通加工の内容など、物流の特性が大きく異なります。自社のビジネスモデルに適した物流体制を構築するには、まず通販物流の基本的なプロセスを理解し、BtoCとBtoBそれぞれの特徴を把握することが重要です。
ここでは、通販物流の全体像と、事業モデルによる作業内容の違いについて解説します。
通販物流とは、ECサイトで顧客が商品を注文してから手元に届くまでの全ての物流過程を指す言葉です。「EC物流」とも呼ばれ、インターネット通販における物流全般を表す言葉として、ほぼ同義で使われています。
通販物流の基本的な業務フローは、以下のプロセスで構成されます。まず入荷・検品では、仕入れた商品の数量や品質を確認します。次にピッキングで注文に応じた商品を倉庫から取り出し、梱包作業で配送用に包装します。流通加工では、ラベル貼りやギフトラッピングなど付加価値を高める作業を行い、最後に出荷・配送で顧客のもとへ商品を届けます。
これらの一連の流れを効率的に管理することが、ECサイト運営の成功につながります。
通販物流は、BtoCとBtoBで作業内容が大きく異なります。
以下の表で主な違いを比較します。
| 比較項目 | BtoC物流 | BtoB物流 |
|---|---|---|
| 出荷数量・件数 | 1件あたりの出荷数量は少ないが、出荷件数は多い。配送先は一般家庭が中心となる。 | 1件あたりの出荷数量は多く、出荷件数は少ない傾向にある。 |
| 流通加工 | ギフトラッピングやメッセージカードの同梱、名入れなど、付加価値を高めるための個別対応が多い。 | BtoCに比べてギフト梱包などの流通加工は少ない傾向にある。 |
| 返品対応 | 画像を見て購入を判断するため、顧客都合による返品や交換の対応が多い。 | 購入者都合による返品や交換には、基本的に対応しないことが多い。 |
BtoCは一般家庭への配送が中心で、少量多品種・多件数になりやすく、個別対応が求められます。一方、BtoBは1件あたりの出荷数量が多く件数は少ない傾向にあり、流通加工や返品対応の頻度が低いことが特徴です。

EC市場の拡大に伴い、多くのネットショップ運営者が物流面でさまざまな課題に直面しています。商品の種類や数が増えるほど在庫管理は複雑化し、出荷や梱包作業には細心の注意が求められます。さらに、事業規模が拡大すると人員や倉庫スペースの確保が難しくなり、限られたリソースで業務を回すことが困難になります。
加えて、働き方改革関連法による労働時間規制や物流コストの高騰など、外部環境の変化も大きな影響を及ぼしています。
ここでは、通販事業者が抱える代表的な物流課題について、在庫管理、出荷業務、リソース、外部環境の4つの観点から具体的に解説します。
ECサイトと実店舗など複数の販売チャネルを持つ場合、在庫管理は複雑化し、在庫過多や在庫不足が発生しやすくなります。特にアパレル商品のようにサイズや色のバリエーションが豊富な商材は、アイテム数が多くなることで管理が煩雑になり、誤出荷のリスクが高まります。
近年はオムニチャネル化を進める企業が増えていますが、リアルタイムで正確な在庫把握ができないと、販売チャネル間での在庫引き当てミスが発生し、販売機会の損失につながります。在庫情報を一元的に管理できる体制の構築が求められています。
ギフトラッピングやメッセージカードの同梱といった個別対応は、顧客満足度を高める重要な施策です。しかし、これらの作業は人的コストや作業負荷を増大させる要因となります。
丁寧な検品や梱包は品質維持に不可欠ですが、注文数が増えるほど発送までに時間がかかり、リードタイムが長くなります。少人数で運営しているネットショップでは、物流業務に追われることで、商品開発やマーケティングといったコア業務に集中できなくなる問題も生じています。
EC事業の規模が拡大し受注量が増えるにつれて、物流業務の負担は急激に増大します。限られた人員では対応が困難になり、業務品質の低下を招きます。
特にセールやイベントなどの繁忙期には人手不足が深刻化し、誤出荷や配送遅延といったミスが頻発しやすくなります。物流業務の負担増大は、単なる現場の問題にとどまらず、企業の成長そのものを妨げるボトルネックになり得ます。適切なリソース確保と業務効率化が急務です。
2024年4月から施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されました。これが「物流の2024年問題」と呼ばれる課題です。
労働時間規制により輸送力が低下し、運送会社は配送料金の値上げを段階的に進めています。物流コストの上昇はEC事業者の利益を圧迫するため、送料設定の見直しや、業務効率化によるコスト削減が急務となっています。

通販物流の課題を解決し、業務効率を高めるには、段階的な改善アプローチが有効です。まず現状の業務を可視化して問題点を洗い出し、次にシステム導入で管理を効率化し、最終的に自動化によって省力化を図る流れが理想的です。
自社の物流業務全体を把握し、ボトルネックとなっている工程を特定することから始めましょう。その上で、システムや機器の導入によって人的ミスを削減し、作業時間を短縮できます。
ここでは、業務の可視化・標準化、システム化、自動化という3つのステップで、具体的な改善方法を解説します。
物流改善の第一歩は、現状の業務プロセスをすべて洗い出し、全体像を可視化することです。業務フローを可視化することで、ボトルネックとなっている工程や無駄な作業を発見しやすくなります。
作業手順書を作成してオペレーションを標準化すれば、誰が作業しても同じ品質を保てる体制を構築できます。手順書は一度作成して終わりではなく、業務に変更が入るごとに見直しを行い、定期的に改善を繰り返すことが重要です。標準化により人的ミスの削減が実現し、業務の属人化も防げます。
WMS(倉庫管理システム)などの在庫管理システムを導入することで、ECサイトと実店舗の在庫をリアルタイムで正確に一元管理できます。受注管理システムと連携可能なシステムを選ぶことで、受注から出荷までの業務全体の効率化が図れます。
在庫情報が正確に把握できれば、在庫引き当てミスによる販売機会の損失を防ぎ、顧客満足度の向上にもつながります。オムニチャネルを実現するには、複数チャネルの在庫を一元管理できるシステムが不可欠です。
出荷量が多い場合、製函機(自動で箱を組み立てる機械)を導入することで、梱包作業を自動化し、省人化とリードタイムの短縮が実現できます。手作業での箱組作業には、専用の冶具を活用することで作業効率を向上させ、作業者の負担を軽減できます。
また、梱包用パッケージのサイズを見直し、よりコンパクトにすることで、運送会社の寸法区分が一つ下がり、配送料金と資材コストの削減につながる場合があります。

自社で物流業務の改善に取り組んでも、人員不足やスペースの限界により対応が難しいケースがあります。そのような場合に有効なのが、物流の専門業者に業務を委託する「物流アウトソーシング」です。
アウトソーシングには3PLやフルフィルメントといった形態があり、それぞれ委託できる業務範囲が異なります。物流のプロに任せることで、コスト削減や業務効率化が期待できる一方、自社にノウハウが蓄積されにくいといったデメリットも存在します。
ここでは、物流アウトソーシングの基本的な仕組みと、導入によるメリット・デメリットについて解説します。
物流アウトソーシングとは、物流の専門業者に自社の物流業務を委託することです。主なサービス形態として、「3PL(サードパーティー・ロジスティクス)」と「フルフィルメント」があります。
3PLは倉庫管理業務を中心に委託するサービスで、入荷から出荷までの物流プロセスを代行します。一方、フルフィルメントは商品の受注から決済、発送、カスタマーサポートまで、一連の業務を包括的に委託できるサービスです。自社がどの範囲の業務を委託したいかに応じて、適切なサービス形態を選ぶ必要があります。
物流業務を専門業者に委託することで、自社のスタッフは商品開発や販売促進といったコア業務にリソースを集中できます。物流のプロによる効率的な作業と管理により、誤出荷の削減や迅速な配送が実現し、顧客満足度の向上が期待できます。
また、倉庫の維持費や人件費といった固定費を削減でき、物量に応じた変動費に転換できるため、コスト削減につながります。繁忙期の人員確保に悩まされることもなく、事業規模の変動に柔軟に対応できる体制を構築できます。
物流業務を外部に委託するため、自社内に倉庫運営のノウハウが蓄積されにくいというデメリットがあります。将来的に内製化を検討する場合や、新たな物流戦略を立案する際に、知識不足が課題となる可能性があります。
また、出荷量が少ない場合、委託費用が割高になり、コスト効率が悪くなることがあります。顧客情報を外部業者と共有することになるため、セキュリティ管理が徹底されている信頼できる業者を選ぶ必要があります。情報漏洩は企業の信頼を大きく損なうため、慎重な業者選定が求められます。

物流アウトソーシングを成功させるには、自社のニーズに合った信頼できる物流業者を選ぶことが重要です。委託先の選定を誤ると、かえって業務効率が低下したり、顧客満足度を損なったりする恐れがあります。
物流業者によって得意とする商材や対応できる業務範囲は異なります。自社の商品特性や事業規模、将来の成長計画を考慮しながら、複数の業者を比較検討する必要があります。
ここでは、物流パートナーを選定する際に確認すべき3つの重要なポイントについて、具体的に解説します。
物流業者によって得意な商材分野が異なるため、自社が扱う商品(アパレル、食品、化粧品など)の取り扱い実績が豊富かを確認することが重要です。特に食品や化粧品、医薬品などは、適切な温度管理や許認可が必要な場合があるため、専門的な対応が可能かどうかの確認が不可欠です。
豊富な実績がある業者であれば、商材の特性を理解した上での適切な管理や梱包が期待できます。サイズが大きい商品や中古品を扱っていない業者もあるため、事前の確認が大切です。
ギフトラッピング、のし対応、メッセージカードの同梱、チラシの封入など、自社が求める流通加工に柔軟に対応してもらえるかを確認することが重要です。業者によって対応可能な作業範囲や料金体系が異なるため、事前に詳細を確認し、見積もりを取ることが大切です。
繁忙期の出荷量増加にも対応できる人員体制や設備が整っているかも、併せて確認すべきポイントです。イベントシーズンに人員を確保できない業者では、納期遅れや作業ミスのリスクが高まります。
自社で利用しているECカートや受注管理システムと、物流業者が利用するWMS(倉庫管理システム)がデータ連携できるかどうかの確認が必須です。システム連携により、受注情報や出荷指示が自動で送受信されるため、手作業によるミスを防ぎ、業務の大幅な効率化が実現できます。
API連携やCSV連携など、どのような方法で連携できるのかも確認し、自社の運用に合った方法を選ぶことが重要です。連携方法によって作業効率に差が出るため、慎重に検討しましょう。

ネオロジスティクスは、通販事業者が抱える物流課題を解決するため、単なる作業代行にとどまらない総合的な物流アウトソーシングサービスを提供しています。入荷から保管、加工、配送までの物流センター運営をワンストップで担い、継続的な管理・改善まで行う「物流部門代行」として機能します。
物流センター全体の委託だけでなく、保管スペースの確保や特定の作業のみといった、一時的・部分的な「スポット作業」にも柔軟に対応可能です。自社開発のWMS(倉庫管理システム)による在庫の一元管理や、業務フローの見直しなど、現場に合わせたIT活用もサポートし、物流全体の効率化と変革を実現します。
通販物流の効率化は、EC事業の成長を左右する重要な要素です。在庫管理の複雑化や人手不足、物流コストの高騰といった課題に直面する中、業務フローの可視化やシステム導入による改善が求められています。
自社での対応に限界を感じる場合は、物流アウトソーシングという選択肢が有効です。3PLやフルフィルメントを活用することで、コア業務に集中しながら、物流品質の向上とコスト削減を両立できます。委託先を選ぶ際は、自社商材の取り扱い実績や流通加工への対応力、システム連携の可否を確認することが重要です。
ネオロジスティクスは、入荷から配送まで一貫したワンストップサービスを提供し、継続的な改善で事業成長を支援します。物流課題の解決により、顧客満足度の向上と事業拡大を実現いたします。